レニール氏は、超不機嫌な職場にいた。しかし彼はその不機嫌さを、一緒に働いている人々の性格や人格のせいにはしなかった。景気の良かったころは、同じメンバーでも楽しく働いていたことを知っていたためだ。
景気の悪化が、組織の個々のメンバーの心ではなく、個々のメンバー同士の関係性に悪影響を与えたのだ。レニール氏はそう確信していたからこそ、ミンツバーグ教授のアドバイスを実践できたのである。
その方法は一見して簡単なものだ。1週間、各参加者が自分の業務上で起こったことを数分間だけ語り合い、共有し合い、そしてアドバイスし合う。その後、予め決められたテーマについて学び、ディスカッションする。
この方法には、何も目新しいことなどないかもしれない。しかし、よく考えてみて欲しい。この1週間に自分の行なった仕事の内容、それぞれの場面でとった意思決定、そのときに考えていたこと(ロジック)、そしてそのときに感じていたこと(感情)を共有している同僚、部下、上司は、あなたの周りにどれくらいいるだろうか。また逆に、彼らのこの1週間の様子を、あなたはどれくらい把握しているだろうか。
上記の「1週間分の情報」の中には、仕事とは関係ないものも多く含まれるであろう。しかし、そういったものの共有こそが、仕事上のうまい「擦りあわせ」にとって必要不可欠なのだ。